少尉と私

二次創作
大学の同好会活動の企画で書いたショートショートです。

少尉と私


 今、私はジオンと戦っている。でもそれは生還を期さない戦い、悪く言えば特攻。良く言って捨て身の攻撃。あとから来るティアンム提督の艦隊到着までの時間稼ぎのため。
 こんな戦いがもう2派に渡って行われている私たちはその3派目。
 今、僚艦のミサイル艇「ホソワート」が沈んだ。あの艦には私が新人の頃にお世話になった少尉が乗っていた。少尉は通信長をしていたはず。
 でも、もう少尉はいない。そして私も次の一瞬後にはこの世から消滅しているかもしれない。そうなったら骨の一部でさえ見つけられないだろう、なぜならばここは宇宙なのだから。どこまで行っても果てのない宇宙、その宇宙を永久に漂い続けるに違いない。
『そうしたらあっちの世界で少尉ともう一度会えるかな?』
『少尉は迷惑かけてばかりだった私と会ってくれるかな?』
『ねえ、少尉答えてよ』
 また僚艦が一隻沈んだけれど不思議と憎しみはわいてこない。みんなはこんなこと絶対信じられないと思うけれどその僚艦を沈めたジオンの巡洋艦のメガ粒子砲から放たれる光が今では綺麗だと思う。私って神経が狂っちゃったのかな、だって普通だったら綺麗だなんて思わないもの。
 その時私は衝撃を感じた。私の乗っているミサイル艇に敵の攻撃が当たったに違いない。次は私の番かなもうすぐ少尉に会いにいけるのかな。
 また衝撃だ。今度はどこに当たったのかな、もしかしたら致命的になる損害を負ったのかも。でも、わたしこの命を無駄にする気はないから。一分、一秒、たとえコンマ数秒だとしてもジオンの艦隊を足止めするんだ。
 そして少尉に会いに行くんだ。それまで待っててね。

 あ、やったぁジオンの巡洋艦が一隻沈んだ。だからってジオンの進撃が止まるわけじゃないけれど少しでも時間稼ぎになってるんだ。
 でも、また僚艦が沈んだ。
 ついに艦隊は私の乗っている艦だけになっちゃった。最初は20隻以上もあったのに、だけど最後の最後まで諦めないよ。この艦が沈むまで頑張るんだ。少尉の死が無駄にならないために頑張るんだ。

 ああ、艦内の空気が抜けていくみんなが外に吸い出されていく。果てのない宇宙に。
機銃のトリガーから手が離れそうだ。だけど吸い出される前にもう一度攻撃させて、もう一度だけ。
そして、トリガーをひくと機銃の銃身から無数の銃弾が放たれるその弾は敵の巡洋艦に吸い込まれていく。そしてその巡洋艦は沈んだ。
 もうこれで少尉に会いに行けるね。私は薄れていく空気の中でそう思った。

 ああ、少尉だ。少尉の姿が見える。なんでだろう、少尉は先にあっちの世界に行っちゃったはずなのに。
そうか、迎えに来てくれたんだね迷惑かけてばっかりだった私を。
うん、一緒に行こう。一緒に行ってまたいっぱい話をするんだ。いっしょに。
『いっしょに・・・』

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