戦乙女が舞い降りた地で、

架空戦記
長編小説一作目、架空の世界を舞台にした戦争物の作品です。

第3話 出航、霧城連邦主力艦隊!


 無線でヘリを呼び『伊瀬』へと帰った近藤中佐たちであったが、戻ってきてからすぐ紀伊軍港へ入港した。
 また、次の日にはリオン中将(第一遊撃隊の編成に伴い昇進した)の指揮下に入った。

 陣容は、リオン中将が乗艦する旗艦『伊瀬』を筆頭に、第一機動艦隊から編入した空母『翔鶴』『瑞鶴』、重巡洋艦『摩耶』『鳥海』。新造艦の防空巡洋艦『伊隅』『澄華』、防空駆逐艦の『慧』『鑑』『茜』『遥』、駆逐艦の『桜』『紅桜』『若桜』『初桜』『冬桜』『夜桜』を擁する艦隊である。

 そして、今や旗艦となった『伊瀬』にはリオン中将の他に各艦の艦長や飛行隊の指揮官、などが作戦会議室に集合していた。『伊瀬』は、元々連邦艦隊の旗艦として建造された艦である、これほどの大人数が集まっても部屋の中にはまだ余裕があった。そのため、『伊瀬』のクルーも少数同席していた。
「臨時編成された第一遊撃隊だが、我々は翌朝出撃し第一水上打撃艦隊とともに陸軍上陸船団を護衛しながら10月14日にアルデンテ島の攻撃を行い。その後陸軍上陸の支援を行うものである。アルデンテ島は、艦隊停泊能力を備えてはいるが現在艦艇は停泊していない模様である。陸上航空隊の戦力は戦闘機、雷撃機、爆撃機がそれぞれ20機程度配備されていると思われる。他にも複葉機が少数配備されているがこれは無視してかまわない。
 我々の第一目標は敵航空兵力の撃滅である。いくら敵の航空機が旧式機だとしても脅威であることには変わりは無い。極力地上で破壊するように勤めよ。また、敵迎撃艦隊の出現もありえる。総員最後まで気を抜かないように。では、解散」
 リオン中将は、書類をまとめるとケースに入れシオン少佐とともに部屋の外へ出て行った。
 部屋の中にいた他の人々も次々と外に出て行く。羅山大佐も自分の部屋へと帰っていった。そして、部屋の中には近藤のほかに数人の士官が残るのみとなった。
 近藤も、部屋を出て行こうと出口の方へ歩いていたとき、出口に一番近い席に座っていた女性士官に話しかけられた。  「あの、貴方が近藤中佐ですか?」
「はい、そうですけれど。貴女は? 階級章を見たところ、大尉のようですが」
「申し遅れました。私は、第113戦闘機中隊の中隊長、氷城すみれ大尉であります。これから、よろしくお願いいたします。少しの間、お話を伺ってもよろしいですか?」
「良いですけれど、お時間は大丈夫なのですか?」
「ええ、1時間ほど開いておりますので大丈夫です」
 すみれ大尉は少しも迷った様子もなく答えた。
 すみれ大尉であったが、彼女は美人であるし、スタイルが良くモデルのようである。そんな彼女が戦闘機に乗って敵の航空機を撃墜しているところを想像すると、彼女も『漢(おとこ)』なのかと思う。軍では、女性も男性と同じように扱われる(これは戦車の話であるが、戦車に乗っている女性もTank manと呼ばれるそうだ)から当然かもしれないが彼女からはとてもそんなことは想像できなかった。
 近藤は彼女の向かい側に座ると用件を聞いた。
「それで、伺いたいこととはなんでしょう?」
「貴方がた『伊瀬』の乗組員は、未来から来たと上官から言われましたけれど、その未来の話をお聞かせいただけないでしょうか? 私、未来について大変興味があるので少しでもお話を伺えればと思いまして」
「そんな事言われましてもですね、なにから話していけばよいのやら私には分かりかねますが」
「では、暮らしはどんな感じなのですか? この艦の中を見ていると私の知らない機械がありますし、さっきの説明で使われていた情報端末も私には全く想像できない代物でしたから」
「うーん、どんな感じといわれましてもですね、私はこの時代へ来る前はいつもいろいろな機械があって生活しているのが当然のことにように思っていました。だからどんなとは考えたことは余りありませんでしたけれど、まあ言ってみれば生活の大体のことが自動で出来るような暮らしかな? でも、自動で出来るって言っても最後は私たち人間がやるんですよ。たとえば、この戦艦にある機械だってある程度は機械がやってくれますけれど、最後の判断は人間がしますし、いくら機械といえどもある程度の誤差は出ますしそこを直すのはやはり人間しかいない。それに、機械が発達したことによって失われたこともありますしね」
「例えばなんでしょうか?」
「例えば、書物を紙媒体で読む機会が少なくなったことかな。私たちの時代では、本は大体全部さっき出てきたような情報端末の中に入っているから紙の書類を読むという機会がだんだん無くなってきているんだ。私の親とか上官の年をとっている人とかは、紙が一番良かったと言っているね」
「そうなんですか、ではこれは私が戦闘機乗りだということとも少し関係があることなんですけれど、未来の航空機はどんな風になっているんですか? 今、航空機研究部ではジェット機成るものを開発中だと聞いています。未来では、そのジェット機というものが主力を占めるようになっているのではないかと私は思うのですが」
「そうだね、私のいた時代では固定翼機は大体ジェット機かな。でもエリコプターもなかなか侮れないよ。ヘリコプターだってミサイルを搭載できるし、対潜哨戒や対地攻撃ならヘリコプターの方が良いときもある。ジェット機にはジェット機のヘリコプターにはヘリコプターの用途があるから戦力の主力といえばジェット機だけれど、ジェット機だけじゃ戦えないからね。いろいろな航空機が効率よく使用されて初めて役に立つんだ。いくらジェット機が優秀でも使い方を間違えたらだめなんだ」
「そうですね、近藤中佐は良く考えていらっしゃるのですね。それに話も聞けてよかったです」
「別にそんなに考えて言っているわけじゃないですよ。それよりも、氷城大尉が戦闘機の中隊長をしているというのに航空機のことをえらそうに語ってすみませんでした」
「いえいえ、謝ることではないですよ。お話を聞けて嬉しかったです。では、失礼いたします」
「あの、一つ聞いて良いですか?」
 すみれ大尉は、席を立ち上がり帰りかけたところで振り返る。
「あなたの名前、氷城って聞きましたけれどもしかして・・」
 近藤がそこまで言うとすみれ大尉は、その先の言葉を近藤よりも前に言った。
「私が氷城首相の娘ではないですかと聞きたかったのでは?」
「はい、そうですけれど」
「はじめて会う人には、大抵聞かれますので予想していました。でも、軍人には家柄は関係ありませんので、関係あるのは自分の才能と努力だけですから」
 そう言って、すみれ大尉は微笑すると作戦会議室を出て行った。
 近藤は、すみれ大尉の出て行った扉の方を少しの間眺めていた。

 その後、近藤は慌ただしく作業を行った。
 そして、翌朝4時に第一遊撃隊は紀伊軍港を出航した。続けて陸軍第五師団と第十工作部隊を載せた上陸船団が出航し第一遊撃隊はその護衛に就く。
そして、最後に第一機動艦隊から編入した二隻の内の高速戦艦『紫花』を旗艦とする第一水上打撃艦隊が出航した。
他の艦隊は、我々に少し遅れて出航するようだ。我々はその間に敵部隊を撃滅し基地施設に艦隊を受け入れることができる準備を完了しなければならない。

 その日の天気は、雲ひとつない快晴で日差しが強く、もう十月だと言うのに少し暑かった。この天気はもう少し続くらしい。そう、気象情報が出ていた。
 もう、後戻りは出来ない。この戦争を少しでも早く終わらせて、前にいた時代へと帰ろう。
 近藤は、蒼穹を見上げながらそう思った。

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