戦乙女が舞い降りた地で、

架空戦記
長編小説一作目、架空の世界を舞台にした戦争物の作品です。

第19話 戦争のための戦争

 1950年6月10日 半島
 
 セレバンテス帝国との戦争が終結し、戦後処理に精いっぱいだった各国であったが、次なる戦いの火種は確実に出来ていたのであった。
 チャナヴェート連邦共和国の極東に位置し、大セレネバ帝国が支配していた領土であったが、戦後チャナヴェート連邦共和国が北を、霧城連邦皇国が南を分割統治することになっていた。
 共産勢力と国境を接する地として、ルヴィアゼリッタと霧城連邦軍からなる兵力を置いてはいたが、主力は欧州方面から動かすわけにはいかず、配置されていたのは二線級、三線級の旧式兵器であり、数もチャナヴェートと比較して少数であった。
 その後、南北は独立を果たしたが、北の指導者は、血の気の多い人物として有名で、皇王の周辺では、チャナヴェートの支援を受けて半島の統一を目論んでいるのではないかという憶測が飛び交っていた。
 増強されている兵力の中には、当然ながらチャナヴェートから売却された最新鋭の戦車や航空機も含まれていた。
 これに対し、資本主義諸国は、チャナヴェート連邦共和国に対して厳重なる抗議を行った。これ以上、軍事的支援を北に行うことは、不必要な疑念を生むことになり、双方の利益にならないものだと。
 しかし、チャナヴェート連邦共和国は、支援は北の経済的、軍事的な独立のために必要な最低限のものであるから、何も問題がない。それよりも、そちらが南に行っている干渉の方が独立を妨げていると主張する始末であった。
 また、当時、欧州で共産勢力を抑えることが何よりも大事であると考えられていたことから各国は及び腰であった。
 そして、なによりも、先の大戦の痛みも癒えぬうちに新たに戦争を起こすなんて御免だという後ろ向きな思惑があったことは確かであった。共同して戦うべき敵を失っていた資本主義国たちは、統一された行動をとることができず、ばらばらに意見を言って考えは全くまとまらなかったのである。
 結果として、双方は駐留している軍隊を引き揚げることで合意し、1950年初頭には完全に軍隊が撤退し、残っているのは軍事顧問団だけであった。
 
 半島での不穏な空気をよそに、大セレネバ帝国(新体制に移行してからはセネレバ国と表記されるようになる。)では霧城連邦の働きかけによって国内体制の再編成、新憲法の制定などが行われていったのである。先の戦争を指導した政治家や軍人たちは、彼らの国によって行われた裁判によって裁かれ、新しい指導者たちは沙羅皇王を他の大国よりは好意的に受け入れた。民衆も半信半疑であるが、戦後のパートナーとして許容するに至った。チャナヴェートやルヴィアゼリッタの軍事的、政治的圧力に抵抗してきたが、霧城連邦は開戦するまで比較的良好な貿易を続けていたし、講和条約締結後、すぐに沙羅は動き出したからである。
 彼女が来訪し、乗ってきた飛行機からタラップへ姿を見せたとき、新聞記者たちは彼女を次のように報じた。
「南洋の魔女現れる。彼女は、我々を救ってくれるのだろうか。はたまた、魔女の大鍋へと投げ込もうとするのだろうか」
 沙羅は、新聞記者からどちらの存在になるのか聞かれると、次のように答えた。
「我々は、あなた方セレネバの民族の自由と繁栄を望んでいます。そのための支援も惜しみません。ただ、再び先のような事態を引き起こすようなら、私は容赦なく大鍋へと放り込むでしょう。しかし、私は確信しています。セレネバの民族がそのような民族でないことを。すばらしい歴史と文化を持つセレネバは必ずやベストな選択をすると」
 この発言もあり、沙羅の思惑通り、セレネバでの手続きは進んでいった。財閥の解体から、軍備の縮小、安全保障条約の締結と経済的支援である。安全保障の関係上、沙羅は国内に一定の自国軍隊の駐留を提案した。これは、決して、セレネバの占領統治を目的としているのではなく、セレネバが軍事的負担を軽減させて経済的復興を円滑に押し進めるためには大変重要であると説明し、政府と民衆の大多数から支持を得て推進することが決定した。
 1949年7月には、既にセレネバに駐留していた海空軍、歩兵師団2個師団のほかに欧州から極東に派遣されてきた榊中佐率いる第211戦車大隊を中心とする一個機甲師団を含む機械化部隊3個師団、歩兵2個師団がセレネバ本土の極東方面軍基地に配備され、続いて、8月には更に1個海兵師団がセレネバ南端の島へと到着した。
 1944年の戦争終結後、各国は大幅に軍事費を削減し、軍備の縮小を進めてきたのであるが、欧州は再建されつつあるセレバンテス国をはじめとして、ファメール皇国、リッシュメル、ガバメントを中心とし、ルヴィアゼリッタ合衆国を加えた欧州軍事同盟が兵力を整えており、欧州から遠く離れ南洋に位置する霧城連邦皇国では欧州への派遣軍もあったが、極東にも軍隊を出来るだけ駐留させていたのであった。
 沙羅の主張はこうであった。欧州は、経済的援助において巨額の支援を行う代わりに、欧州から遠く離れた極東における安全保障、共産主義からの自由諸国の防衛の任はより距離の近い霧城連邦に一任してほしいと。
 当時、ルヴィアゼリッタの大統領も極東における安全保障も重要だと考えていたが、実質的に欧州のことだけで精いっぱいで極東に力を振り向けることが困難だったのである。
 ただ、その兵力の半分は戦後新しく徴兵された兵士たちであり、欧州に駐留する精鋭師団と比べ、力不足は明らかであった。それに、沙羅も他国の指導者よりは比較的極東の安全保障について真剣に考えていたという程度でしかなく、駐留している兵力も共産主義勢力に対する圧力と、極東と国連における政治的アピール以上のことは考えていなかった。セレネバ国を基点として北と南に結んだ線は何としても防衛すると断言していたが、それ以外の地域についてはそれほど熱意をもっての防衛は考えていなかったのである。

 これから二ヵ月後、沙羅は考えようによっては必然の、しかし苦渋の決断をせざるを得なくなるのであった。



1950年6月19日 1900 南北国境

 北緯38度線を境にして睨みを利かせる北と南の北側、普段であれば見張り兵くらいしかいない大地にそれはあった。
 月の光を反射して黒光りする長い砲身を車両の上にある砲塔に載せた大型の車両が数十両。そして、小銃等を構えた兵士が周囲を固め、後方には兵士を満載したトラックがエンジンをかけたまま待機している。
 戦車やその他の装甲車両、トラックなどがあげるエンジン音は、さながら獲物を探す猛獣の息づかいを思わせる。それに、兵士たちが息を潜め、それでいて血走った目がすぐ目と鼻の先、国境線の方向をじっと見つめていた。
 どの兵士も何年、何ヶ月にも渡って訓練を受けてきた兵士たちであり、誰もがこの日を待ちわびてきた。
 彼らに比べ、国境を挟んで向こう側にいる南の兵士たちは、緊張感こそもっていたが、頭の片隅では早く交代して休みたい気持ちでいっぱいであった。
 そう、この日、前線にいる兵士たちとは反対に、政府首脳、軍幹部たちは料理と酒をその胃袋に納めながらのドンちゃん騒ぎをしていたのである。
 このときはまだ、見張りの兵士たちは知る由もなかったが、血に飢えた猛獣たちを前にして、彼らは自らの血で望まぬ来客を歓迎することになるのであった。
 猛獣は、あらかじめ破壊しておいた柵をくぐり抜け、見張り兵たちの背後へと回り込んだ。そして、その存在に全く気づくことなく見張りを続ける兵士に一斉に襲いかかった。
 兵士たちは、最初自分たちに何が起こったか理解できなかった。暗い周囲に一瞬低いうめき声が聞こえたかと思うと、誰かの倒れる音を聞いたのである。そして、次は背後で、次は自分のすぐとなりで。
 やっとのことで異変を理解した兵士が最期に目に映したのは小銃を手にした北の兵士の姿であった。
 見張り員を速やかに排除し、異変に気づいた兵士が来る前に、彼らは動き出した。
 兵士たちは、破壊された柵を次々に乗り越えて越境し、車両は、先に侵入した兵士の手引きによって濁流のように国境を越えていった。
 
 前線の兵士たちが血で敵の歓迎をしているころ、どんちゃんさわぎを続けていた大統領、軍幹部に一通の紙が渡されたのである。内容は短く簡潔だった。
「北緯38度線より南部において、北夜御陸軍の攻撃を受く。敵は少なくとも、5個師団を擁す」
 最初は、何かの冗談かと笑って返答した大統領であったが、事の重大さを認識するに至って、それまでの酔いなどあっという間に冷め、ほかの将軍たちとの談笑などそっちのけで、側近に車を出すようにいうと、慌てて退席していったのである。ほかの将校や政治家たちも同じ情報を受け取ると、血相を変え、酒の酔いとは全く違う体の揺れを覚えるものも少なからずいた。
 だが、彼らが飲んで等いなくても、状況はさして変わらなかったであろう。それほど、北夜御の動きは早かったのである。

 北夜御軍は、北緯38度線一帯に展開する警備兵たちを文字通り踏みつぶしながら進撃すると、さらに南部で警備に当たっていた部隊を一方的に強襲した。
 もちろん、北夜御陸軍の侵攻はある程度知っていたし、警戒態勢の発令もすでに軍司令部から受け取ってはいた。
 しかし、たとえ、警戒態勢をしていたとしても無駄であろうと思うほど、北夜御の兵力は絶大であった。それは、陸軍の単純な兵士の数にも現れていたし、機構へ威力の違いにも現れていた。そして、なによりも双方の軍事訓練の圧倒的な差が、緒戦における散々な後退劇を演じさせたのであった。
 まず、兵力の差でいえば、大璃民国陸軍が旧式の戦車やバズーカなどの対戦車兵器が少数配備されているだけだったのに対し、北夜御陸軍ではチャナヴェート連邦から有力なる新型戦車を多数受領していたし、それを操るに足る軍事訓練も受けていたのである。また、空軍においても状況は同じであった。
 開戦して初めての夜明けを迎え、首都前面において守備を固めていた大璃民国陸軍に前に現れたのは、かつてセレバンテス帝国の戦車に多大な被害を与え、兵士たちをこれでもかと殺傷させた地上攻撃機とチャナヴェート陸軍の主力戦車、T-34だった。。
 空中戦能力を犠牲にする代わりに、23ミリ機関砲と小型の掃射用の機銃を持つ攻撃機は、夜を徹してやっと陣地を整えた大璃民国陸軍に容赦なく襲いかかっていった。これに対し、空へとあげられる対空放火はほとんどなく、地上攻撃機たちは、さしたる障害を受けることなく目標の敵地上部隊に襲いかかった。
 まず、部隊の一角に待機していた戦車の頭上から機銃弾が降り注ぎ、ただでさえ装甲の薄い旧式戦車の一番手薄な丈夫装甲板を突き抜けた機関砲弾や機銃弾が車内へとこれでもかと突入し、内部にいた兵士たちをぶつ切りの肉片や、挽き肉状態へと変えていった。
 これが外にいる生身の兵士に向けて撃たれた場合は、もっと悲惨であった。戦車の薄い装甲とも比べものにならぬ薄い布何枚かしか隔てるものがない兵士たちは、たとえ直撃弾でなくても、至近弾であっても彼らの命を奪うには十分すぎる攻撃であった。中には、味方だと思っていた戦車から飛散した金属片によって被害を受ける兵士もかなりいた。
 これに輪をかけて、直撃弾でも食らうような事が一度でもあれば、それが胴体であろうと手足だろうと命中したところから上下を紙のように容易に切断し、ほとんど誰もみたことがなかった人体の輪切り図を生で見る羽目になった。
 即死した兵士は、まだ楽であった。もし、不運にも、致命傷を負いながらも生きながらえてしまった兵士たちは、いっこうに現れることのない看護兵を待ちながら、体内にある血液がどんどん流れ出ていくことを感じ、銃撃してきた航空機に罵声を浴びせることもかなわず、ただ何の言葉かも理解できないうめき声を上げるしかなかったのである。
 あるところでは、下半身をきれいさっぱり吹き飛ばされ、あるところでは、腕を片方強引にもぎ取られ、またあるところでは、味方車両に攻撃が命中した事によって高速で飛び散る金属片が鉄の雨となって肉体を紙のように切り裂いた。
 そして、混乱が収まらないうちに歩兵の支援を受けたT-34が大挙して押し寄せ、生き残った兵士をその履帯で轢き、搭載機銃で薙ぎ倒し、戦車砲で乗っていた車両ごと人の形も残さぬ破片へと破壊していったのであった。


1950年6月20日 1400 霧城連邦首都

 昨夜の激務の疲労を回復する暇もなくたたき起こされる格好になった沙羅皇王が政府、軍首脳を緊急招集して会議を行っていた。主要な議題はただ一つ。南北の戦争に全面的に介入するか否かであった。
 まず、発言したのは海軍総司令官であった。
「我が極東方面艦隊は、半島で警戒を続けると共に、セレネバに近く、重要拠点である紅湾の防衛のため艦隊を派遣しております。次になすべきことは、航空隊の投入です。南北の戦力差は明らかです。陸軍の投入は議論するにしても海軍航空隊、空軍をいち早く投入して北の侵攻を抑えるべきです。さもなければ、戦線は崩壊し、あっという間に半島は赤く染まるでしょう」
 これに沙羅は返答した。
「艦隊、海軍航空隊、空軍の投入は妥当でしょう。だからこそ、艦隊の派遣はもしものために準備させていましたし、我が国住民などの退避を支援するための空軍、海軍の投入は認めます」
 次に、陸軍が発言してきた
「海空軍の投入ももちろん重要ですが、地上軍の劣勢が明らかな今、根本的に問題を解決し、北夜御の進撃を食い止め、押し返すには陸軍の投入が何としても必要です。現地の陸軍司令官もすぐにセレネバに駐留中の陸軍に出動命令を出すべきだと言ってきています。さしあたっては、先遣隊として一個連隊を派遣し、速やかに二個師団以上の派遣が必要だと考えます」
「陸軍ですか?」
 沙羅は眉をひそめた。ルヴィアゼリッタよりも早く兵力の移動を始めたころにチャナヴェートは異常に反応しており、抗議もして来ていた。国際連合でも夜御半島でのいざこざから安全保障理事会への参加を見送っていたチャナヴェートが最近、また参加してきており、本格的な介入をしていると判断すれば拒否権を発動することすら辞さない構えを見せていたのである。
 沙羅が次の言葉に迷っているのを見た外務大臣が更に判断を急がせるように情報を提示した。
「チャナヴェートの本格的な介入について苦慮しているのではありませんか、皇王陛下」
「えぇ」
「百歩譲って陸軍を派遣したとしましょう。そうすれば、チャナヴェートは国連安保理で拒否権を発動してくるかもしれません。しかしです。チャナヴェートも先の大戦で大きい被害を受け、復興に多大な負担を強いられているはずです。それに、今回のことに関しては、いくら国連でチャナヴェートの拒否権によって国連軍が派遣できなくとも、世界世論は皇王陛下のご決断を支持するでしょう。逆に考えてみれば、夜御半島を共産側に完全に奪われることになりますと、セレネバが海を隔てて直接共産と接することになってしまいます。そうなっては、これからの政策にも影響を与えるでしょう。ここはもうすこし前向きに考えてはいかがでしょう」
 外務大臣の発言に勇気づけられたのか、沙羅は塞ぎこむような姿勢から顔をあげて言った。
「航空隊、空軍の派遣についてはすぐに行うと言うことで、陸軍の派遣については、もう少し検討しましょう。ただ、一個連隊はすぐに派遣できるよう準備しておいてください」

 だが、ゆっくりと検討する暇もなく、事態は動いていくのであった。
 戦争勃発翌日午後に行われた国際連合安全保障理事会(以後、国連安保理)では、当然のごとく夜御半島における戦争についての是非が問われた。
 ルヴィアゼリッタ、霧城をはじめとする各国は、国連加盟国は北の侵攻について断固として抗議すべきとし、各国の力を結集してこれを撃退すべきだと訴えた。
 これに対し、チャナヴェートの国連大使は、夜御半島での戦争は、当事者だけで解決されるべき問題であり、しかも、その片方だけに肩入れするなど断固として受け入れられないとして猛反対した。
 結果として、安保理での決議は、賛成9、反対1、棄権1となったが、チャナヴェートが拒否権を発動したことにより、北への弾劾決議を採択することはできなかった。
 ただ、国連の大勢は、北の侵攻を非難し、霧城連邦、ルヴィアゼリッタの行動を評価していたのであった。これにチャナヴェートの国連大使は、本国と対応を協議するため、議場を後にした。
 チャナヴェートに拒否権を発動されるのは想定内であったが、それでも尚、各国は共産側との関係悪化を恐れていた。霧城やルヴィアゼリッタの側に回った国々も支持こそはしたものの、それ以上の協力はなかなかしようとはしなかったのである。それに比べ、ルヴィアゼリッタの対応は早かった。セレウベル海を隔てて遠い極東の戦争ではあったものの、ルヴィアゼリッタにとっても、共産勢力が広がることは何としても避けたかったのである。
 ルヴィアゼリッタは、手始めに海軍と空軍を派遣するとともに、セレネバから移動するであろう霧城連邦陸軍の代わりという名目で極東に陸軍を派遣することを決定したのであった。名目上は、防衛兵力の不足分の派遣となっていたが、派遣される兵力がもとからいた霧城連邦の兵力の軽く倍を超えることから考えて、明らかに半島で発生している戦争への増援兵力だった。
 常識から考えれば、両国の判断は迅速かつ、大胆であり、投入しようとする兵力も大規模だが、戦争が夜御半島という極めて狭い範囲で発生している状況を鑑みれば、もっと早く来てほしいというのが現場で戦う大璃民国軍兵士の大多数の意見だった。
 かくして、両国は陸海空三軍の派遣を決定し、極東にまとまった地上軍を駐留させていた霧城連邦軍の陸軍一個連隊が先遣隊として大璃民国後方に上陸した。構成は、急ぎの派遣であったため軽装の歩兵師団がほとんど占めていたが、敵機甲戦力を阻止するために戦車も少数含まれていた。T-34がチャナヴェートの守り神なら、彼らの戦車も霧城連邦の守り神にふさわしい戦車であった。
 その戦車は、先の第二次世界大戦で歩兵支援にしか使えない九七式、装甲の薄い九九式を代替するために開発された三式中戦車の拡大改良型である八式戦車である。先の大戦でも無敵を誇っていたセレバンテス陸軍の主力戦車を撃破し、互角以上に戦った三式中戦車の100ミリ戦車砲を再設計し、ファメール皇国のセンチュリオン戦車の技術を取り入れて開発された本戦車は、大量の敵戦車を押しとどめる切り札として対戦車兵力の中で最優先で戦場に送られた。
 この先遣隊所属の戦車隊を指揮するのは、先の大戦で戦車戦闘で多大な功績をあげた榊中佐であった。彼は、他の指揮官のほうが適任だと言って要請を拒んだが、、沙羅皇王自ら、指揮官になるよう要請すると『皇王陛下の命令とあらば、一軍人がそれを拒否する理由はありません』と言い、指揮下の戦車中隊要員を率い輸送機に乗って上陸したのであった。
 しかし、状況は予想以上のテンポで進みつつあった。空軍と強力な陸軍を投入して攻勢をかける北夜御の攻撃に、まともな対戦車兵器を持たず、士気でも劣る大璃民国軍は敗北に次ぐ敗北を重ね、開戦して一週間もたたない間に首都を失い、更には後方に移した臨時の主都さえ敵に奪われてしまい、各部隊は散り散りになって敗走していた。
 ここに至って戦場に到着した霧城連邦陸軍は、奪われた臨時首都後方の高地に陣取り主力が到着するまでの遅滞作戦をすることになるのであった。


1950年6月28日  風都 第24連隊司令部

「なんだと!!」
 風都に司令部を構えている第24連隊長は、物資等の補給報告を部下から聞いて思わず怒鳴った。
 昨夜、風都に到着した第24連隊は、風都の高地に砲兵大隊の陣地を突貫工事で設営し、山の間の唯一の車両の通路上に八式戦車を配置し、通路わきに歩兵を置いて敵部隊の出現を待っていた。補給は、その前に弾薬や燃料を補給する最後の補給隊であったのだが。
「兵力自体が完全充足の連隊規模でないことは致し方ないだろう。だが、しかし、弾薬も満足に届かないとは何と言うことだ。すぐに総司令部に問い合わせろ!!」
「はい、そう仰ると思いまして、問い合わせをしたのですが、総司令部からは『貴官らは、手持ちの戦力で敵戦車部隊を攻撃し、主力の到着まで進撃を遅らせろ』と言ってくるばかりで。これ以上の弾薬の補給も人員の増強もしないそうです」
 ただでさえ急ぎの派遣だったのに加え、敵の進撃がこうも早ければ補給が予定通りに行われないことも予想の範囲内ではあったが、同時に、準備不足は現場の兵士の血で補わなければならなくなることも簡単に予想できた。
「ふむ……」
 そこで深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。いくら補給が満足に届かなくとも、人員が十分でなくとも、命令とあれば、それを遂行するのが軍人の仕事。それに、現場の兵士の命を預かっているのは他ならぬ彼自身であったことを考え、最善を尽くすことに頭を切り替えた。
「連隊長、ここは前向きに考えましょう。今我々が布陣している場所は、この一帯では唯一と言って良い車両の通過可能な場所です。ここで敵戦車を足止めできれば、敵の進撃速度は確実に鈍るでしょう。ここで敵を足止めできれば、他の戦線で戦う部隊も側面の圧力から多少は解放されるはずです。何も死守しろと言われているわけではないのです。出来得る限りの抵抗を行い、その後は潔く後退しましょう」
「そうだな。私に課せられているのは、任務の遂行と部下を一人でも多く連れ帰ることだ。武器弾薬はすぐに補給できても、人員はすぐには補給できないからな」
 参謀長の助言を受けた連隊長は、報告に来た部下を下がらせると、司令部内に広げられた地図に目を移す。
 地図には、赤と青のピンで敵味方の勢力が表わされていた。その東側、幾つもの赤いピンが一つの壁のように押し迫る最前線の中央に第24連隊を示す青いピンもたてられていた。連隊の目の前にある赤いピンは、つい数時間前に付けられたものであった。偵察に出た兵士の報告によると、敵部隊は長砲身85ミリ砲を有するT-34/85を前面に押し出し、両脇に歩兵、後方に自走砲を従えて進撃していた。戦車の中には、少ないがLV-2重戦車も含まれているとのことであった。
 対する第24連隊は、八式戦車は敵の重戦車とも互角以上に戦えるはずであり、歩兵に携帯させている対戦車兵器や砲兵大隊の支援もあれば足止めは可能であったが、問題は敵の数であった。
「八式がどこまで戦えるかにかかっているな」
「えぇ」

「戦車の性能は申し分ない。ただ、補給が不十分ではな」
 戦車隊を指揮する榊中佐は、ため息をつきながら、自分の乗る八式戦車の弾薬を確認する。一応、徹甲弾も榴弾も補給されていたが、肝心の敵戦車に使用する徹甲弾が片手の指で数えられるほどの弾数では心許なかった。榴弾にしても、徹甲弾よりは多く積んであると言うだけで、既定の弾数を大きく割り込んでいた。
 申し分程度の撤甲弾さえ補給されなかった戦車は、榊の判断で少し離れた高台へと配備されていた。
 そもそも、山岳地帯が広がるこの一帯では、戦車を集中して運用することなど最初から不可能で、戦車本来の使用法である機動戦など全く出来なかったのである。機動を封じられた環境では、いくら高性能の戦車であろうと、装甲の厚い自走砲に成り下がってしまうのであった。
 それに、今榊が一番心配しているのは、敵戦車部隊に配備されている戦車のことよりも、それに随伴する歩兵部隊についてのことであった。車両の進行方向はある程度予想できても、歩兵はどこからでも進むことができる。何もおとなしく戦車部隊に付き従って進撃するだけが歩兵の仕事ではないのだ。これまた、申し分程度の訓練を受けた新兵を大半を占める歩兵が榊の戦車隊の周りを固めているが、一度、ゲリラ戦術を得意とする敵歩兵の奇襲に遭えば、新兵達はたちまち統制を無くしてしまう可能性もあった。
 不安はどんな戦いにだってある、そう気持ちを落ち着かせて榊は敵の出現を待った。
 
 暫くすると、草木をかき分けてくる物音が幾つも聞こえてきた。敵歩兵は、周囲に目を光らせながら、一歩一歩近づいてくる。道の両脇に待機する味方歩兵は、じっと歩兵の進撃に耐えた。
 攻撃は、敵を十分引きつけてからだ。敵戦車が現れ、榊の戦車隊が攻撃を開始したのを合図に銃撃を加えるよう歩兵部隊にも要請していたのである。
 彼らは、額から垂れる汗を拭いもせずに、小銃の照星を進撃する歩兵に合わせて左から右へと徐々に動かしながら、グリップを握りなおしながら、攻撃開始の合図を待った。ある歩兵の目の前を敵歩兵が通過し、心臓がこれでもかというほど大きく心拍数を上げる。今すぐにでも敵と目が合って、銃口がこっちを向くのではないかという考えが頭の中を支配していた。早く攻撃へのカウントダウンが終わってくれと歩兵の誰もが心の中で願った。
 敵歩兵が姿を現わしてから数十秒後、タイヤが地面を転がる音とは違う独特の音が響いてきた。間違いない、戦車の履帯が動くことで起こる音だ。そう思うとすぐ、鋼鉄の鎧に身を固めた戦車が長い砲身を進撃する方向に向けながら進撃してくる。
 ついに、攻撃が開始される。各歩兵は、もう一度自分の小銃の安全装置等を確認し、改めて引き金に指を軽く添えた。
 戦闘開始の合図は唐突だった。一回、大砲の発射音が鳴り響いたと思うと、歩兵の後を進撃していた敵戦車の砲塔前面に丸い穴が生じ、次いで戦車がくぐもった音と共に僅かにバウンドした。
「各小隊、攻撃開始! 周囲に警戒しつつ、歩兵を掃討せよ」
 進撃していた歩兵から見れば、何の変哲もない森が、一瞬で地獄に姿を変えた瞬間であった。
 戦車の蔭に隠れて進撃していた歩兵が戦車の爆発をまともに受けて、肉片と化し、散乱した。道の脇からの銃撃に反撃しようと身を翻した歩兵は、あっという間に体をハチの巣にされ、一発の銃弾も撃つことなく森にその身を横たえた。
 敵歩兵のほうも黙ってはいない。初陣に震え上がって撃つことができないでいる歩兵に銃口を向けると、仇だと言わんばかりに銃撃を浴びせ、たちまち銃弾を何十発と命中させてボロ雑巾のようにしてしまう。戦車は戦車で、砲撃のあった方向に砲塔を回転させると、あらかじめ装填してあった徹甲弾を発射させる。ものすごい速さで飛ぶ砲弾は、八式戦車の前面装甲に殺到した。だが、徹甲弾は八式戦車持ち前の重装甲と傾斜装甲に阻まれ、装甲表面で火花を散らしてはね返される。
 更に、後方から敵の迫撃砲が味方歩兵に襲いかかる。歩兵を相手にすることで精いっぱいだった歩兵の視界の中でガラ空きだった上空から幾つもの迫撃砲弾が着弾し、戦車から飛んでくる榴弾も合わさり、脚を吹き飛ばし、腕を引きちぎり、頭を明後日の方向に吹っ飛ばす。
 もうもうと立ち昇る黒煙と土煙の壁の向こうから新たなる戦車と歩兵が姿を現し、戦車の残骸や歩兵の死体を押しのけ、踏み潰し、攻撃を加えてくる。
「徹甲弾を一発も無駄にするな。確実に敵戦車をしとめるんだ!!」
 そうは言うものの、実戦で命中率百パーセントというのはそうそうなく、敵戦車の脇や前方、後方に着弾する徹甲弾も何発もあった。逆に、敵戦車から受ける攻撃の被害もゼロというわけには行かず、敵戦車兵の澄ました砲撃により、砲塔と車体の隙間や、車体前面の覗き窓を狙い撃ちされ、一両が最初の一発で主砲発射能力を喪失させられ、覗き窓への命中によって、撃破されていた。
 数発徹甲弾の撃ち合いを続けていると、敵戦車や敵歩兵の四方八方で着弾が連続して起こり、地面を削り取り、見えない誰かに放り投げられたように敵歩兵が吹き飛ばされた。
 後方にいる砲兵や戦車が支援砲撃を開始したのであった。進撃方向を予測していた砲兵たちは、照準をあらかじめその進路上に合わせており、交戦開始を認めたことにより、一斉に射撃したのである。彼らの砲撃は凄まじかった。着弾の度に幾つものクレーターのような穴が生成され、草木が根元から掘り返され、土砂が巻き上げられ、敵味方を問わず、それらが頭上から降り注いだ。
 砲兵の砲撃により、履帯を引きちぎられた一両のT-34がその場につんのめるように停止し、泣きっ面に蜂とばかりに側面にいた歩兵が放つ携帯型対戦車兵器によって側面装甲に穴をあけられ、機能を失ってしまった。
 これにより、薄い上面装甲を貫徹し、敵戦車を2、3両は撃破したのを榊は確認することができた。
 だが、弾薬の補給不足は、目に見える形で両者の力の差として表れ始めた。
 もちろん、味方部隊の攻撃は猛烈で、戦車が搭載する徹甲弾のほとんど吐き出されて軽く10両以上の敵戦車が撃破され、砲兵による支援砲撃でさらに4両撃破することに成功し、歩兵も携帯する対戦車兵器で2両を撃破した。
 それでも、敵戦車部隊の進撃は衰えなかった。さらに、悪いことに、T-34でさえ対戦車兵器を使い尽した味方部隊には撃破することは難しかったのに、それ以上に強力なLV-2重戦車が現れたのである。
 八式戦車の主砲は、T-34であればどの方向から撃っても敵を貫徹できるほどの威力を見せていたが、LV-2では前面装甲では弾かれてしまうものもあった。
「砲塔下部を狙え!」
 榊は砲手に命令すると、砲撃の時を待った。しかし、砲手が砲塔を回転させて狙いを定めるよりも早く、敵重戦車の砲撃が榊の八式に襲いかかってきた。
「大丈夫だ、前面装甲なら大丈夫だ」
 そうは言ってみたが、砲弾は前面装甲に命中し、衝撃と共に装甲板のひしゃげる鈍い金属音が車内に鳴り響いた。内部からは直接見ることはできないが、今前面装甲を外から見れば、分厚い傾斜装甲がへこんでいるのが確認できるだろう。
「砲撃用意良し」
「撃てっ!」
 最後の撤甲弾が榊の乗る八式戦車の100ミリ戦車砲の砲身から撃ちだされ、寸分のずれもなくLV-2重戦車の砲塔下部に突き刺さった。徹甲弾は、一度、砲塔下部に命中して跳ね返されると、今度はそのすぐ下の車体上面に激突した。
 砲撃を受けたLV-2は、一瞬車体を震わせると、えらくゆっくりとした動作でその場に停車した。いあ、正確にいえば、停車させられたと言うほうが正しいだろう。命中した徹甲弾は、上面装甲の破片と共に車体内部に飛び込み、狭い車体内部で動いていた乗員を容赦なく殺傷する。自分の戦車が命中弾を受けたと認識した次の瞬間、瞬きもする間もないほどの一瞬の間に乗員たちを肉片へと変えてしまったのであった。
 そのころには、どの戦車も徹甲弾を撃ち尽くし、既に榴弾も残り僅かな状況に陥っていた。もともとの搭載量が少ないのだから仕方ないのであるが、補給が十分届いていれば楽に撃破できる相手に苦戦させられる状況に榊は歯がゆい思いをした。
 支援砲撃を加える砲兵が望みの綱であったが、榴弾では歩兵は殺傷できても、戦車には効果がなく、どんどん進撃してきており、既に状況はいつ後退命令を出すかどうかのところまで来ていた。
 徹甲弾が尽きたことを悟ったのだろうか、敵戦車は榴弾で砲撃を続ける戦車をしり目に、悠々と砲塔を歩兵のほうに旋回させて砲撃を続行させた。味方歩兵は、初期は奇襲効果もあり善戦していたが、じりじりと兵力差に押されて行き、機銃掃射や榴弾による攻撃で撃ち殺されるか、追い出されるかして部分的に後退を始めていた。
「各小隊へ、徹甲弾を使い果たした戦車は、各自の判断にて後退し、高台にいる戦車と合流して砲撃を続けろ」
 そう命令し、榊中佐の乗る八式も前を向きながら後進にギアを入れて後退し始めた。急かすようにその周囲に敵の砲撃の着弾が起こり、周囲にいた歩兵は戦車から少し距離をとって後退しつつの攻撃を続行した。
 榊は、敵の進撃に疑問を感じた。何故ならば、敵部隊は相手が対戦車兵器が尽きたことを予測しているのに、戦車を前面に立てて急速に進撃して部隊を散り散りにして各個撃破することもできるはずだった。それなのに相変わらず周囲の歩兵に攻撃を加えながら自分たちの部隊に後退を許している。このままでは、我々も大損害を受けるが、敵も大損害を受けてしまう。自分ならば戦車を突撃させるはずだと榊は考えていた。
 だが、すぐに敵の真意に榊は気づいた。
「歩兵が側面か後方から攻撃してくるかもしれん。各車、前面の敵への攻撃を一時中止し、周囲の警戒を厳にせよ」
 それは、双方の戦闘音に身を紛らせながら接近してきた。榊が敵の攻撃を悟ったのは、後方にいる歩兵の方向でいきなり爆発が起こったからであった。戦車隊の後方を守る歩兵の一角で手榴弾が爆発し、山の中から突如として、何十人もの敵歩兵が銃撃しながら突撃してきたのである。
「これはまずい。高台にいる戦車にも通報、歩兵の襲撃に十分注意せよと伝えよ」
 通信員にそう言いながら、榊中佐は砲塔上面のハッチから身を乗り出して、車載機銃で後方に出現した歩兵へ銃撃を浴びせる。激しい振動と共に機銃弾が何十発と発射され、敵歩兵を紙人形のように引き千切り、体を四散させる。直撃を免れた敵歩兵も機銃弾の着弾によって飛ばされた石や機銃弾自身の破片、破壊された兵器の金属片によって殺傷されていく。
「中隊長、敵山岳兵の攻撃を砲兵隊も受けているようです。我々も早急に後退しませんと、敵の包囲の輪の中に取り残されてしまいます」
「よし分かった。もう少し下がったところに通路の曲がり角があるから、そこで信地旋回して後退するぞ」
 そして、曲がり角の向こう側に到着した戦車から順次、左右の履帯を前後逆方向に回転させて信地旋回して高速で後退をし始めた。ただ、砲塔だけは側面から襲撃してくる敵歩兵に合わせて旋回させ、残り少なくなった榴弾を浴びせ、車載機銃で掃射をかける。
「履帯損傷、榴弾も底をつきました」
 まだ敵戦車と交戦中だった僚車から悲痛な通信が入ってきた。
「すぐに脱出しろ。戦車の蔭に隠れて後退するんだ」
「中隊長、今、砲兵も後退を始めたとの通信が入りました。連隊長も陣地を放棄して後退することを決定したそうです」
「それでは、ここにいる意味はもうなくなったな。味方歩兵の後退を支援しつつ司令部に合流する」
 榊は、逃げてきた味方戦車兵を回収しつつ、周囲の敵に砲撃と機銃掃射を加える。どうやら、履帯が破壊された戦車は道の真ん中に停止したようで、敵戦車の進撃が一瞬鈍った。そこに、味方歩兵部隊のトラックが自らの危険も顧みず何両も現れ、命からがら逃げてきた歩兵を素早く荷台に回収すると、すぐに方向転換して土煙を上げつつ後退していった。
「後方にLV-2!!」
「残弾は?」
「ありません! 機銃弾だけです」
「それなら、後は神に祈るだけだ!」
 そう言って、操縦手に最大の速力で後退するように命ずる。その間にもLV-2の砲塔は回転し、ついに八式に狙いを定めた。
「中隊長あれを。空軍の爆撃機です」
 その言葉を聞くか聞かないかの瞬間、LV-2の主砲が火を吹き、航空機の爆撃音が重なった。
 次の瞬間、地面から突きあがる揺れが榊を襲った。八式のすぐ隣に敵戦車の放った徹甲弾が着弾したのだ。そして、ダイブブレーキを利かせながら急降下してきた空軍の爆撃機が通り過ぎながらLV-2に爆弾を見舞った。

 榊中佐の中隊は、敵戦車による攻撃と歩兵による奇襲により、戦車2両を失った。
 だが、歩兵部隊の被害はさらに甚大で、指揮系統が完全に破壊され、歩兵大隊の指揮官のうち生き残っているのが中隊長一人だけというありさまであった。
 それでも、敵部隊にはかなりの損害を与えることに成功し、その戦力の中核である戦車兵力の大幅な撃破を成し遂げることができた。だが、北夜御の進撃は収まるところを見せず、準備時間を十分に持つことのできない霧城連邦とルヴィアゼリッタを中核とする連合軍は、南へ、南へと押されていったのであった。

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