サイドストーリー「充実した空白 〜烈女の長期休暇〜」

架空戦記
同人誌のキャラクター「五十嵐千鶴」を主役にしたサイドストーリー「充実した空白」です。

第十五話:再会


第十五話:再会

 レムセー小隊を見送って、五十嵐と双子は空を見上げている。寺からの脱出行、戦闘、海で溺れかけて、そしてヘリでの輸送、疲れが出てきたのであろう、ミーメイが眠そうだ。飛行甲板の艦橋脇のベンチに、五十嵐を中央にして三人で座ると、ミーメイがカクンと五十嵐にもたれかかってくる。「あら、もうお休みね」とミーメイを軽く横抱きにする。「あなたも、少しお休みなさい」とリーメイの肩を引き寄せると、ふっと顔をうずめる様にして眠りはじめる。

「両手に花って、こういうことを言うのかしら」と平和そうに寝入る二人を交互に見ていると、五十嵐も眠くなってきた。気を利かせた整備兵が毛布を持ってきてくれる。温かい毛布に包まれると、五十嵐も寝入ってしまう。

 二時間半ほど後、鈴原隊が帰投してくる。最初に着艦した櫻と水嶋が五十嵐に駆け寄る。双子を抱える様に寝入っていた五十嵐も、ふたりの気配で目を覚ます。「あら、おひさしぶりね、お元気だった?」寝起きで頭がまわらず、ちょっと場違いを言ってしまったことに気づいて、少し照れる五十嵐。
「五十嵐大尉、無事帰還、おめでとうございます!」櫻が満面の笑みを浮かべている。「六ヶ月近く、お助けできずに申し訳ありませんでした」と、責任感の強い水嶋が頭を下げる。「いいのよ、あの後、結構面白かったわよ。お話は皆さんが揃ってから夕食の時にでも」と両脇で寝入っている双子を起こさない様に答える。

 鈴原・美坂・壬剣・高瀬も五十嵐の前に並ぶ。
 立ち上がろうとする五十嵐をとめながら「任務ご苦労、そして生還おめでとう」と鈴原が労う。「はい、大変おもしろい経験ができました。皆様にご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」と頭をさげる。

「それにしても、凄いですよね、さすが五十嵐大尉、たった六ヶ月でこんな可愛い子を二人も、さすがですう! わたしにも早く素敵な人がみつからないかなあ」…… 櫻のボケが飛ぶ。意外と天然かもしれないが…… 水嶋がどう櫻を窘めようか考えあぐねていると鈴原が「マオ老人は不思議なクスリを使うと聞いていたが、そうか、安産のクスリもあるのだな」と櫻に乗る。「いや、この子たちは……」と言いかけた時、美坂が「大尉の腕前でしたら、よい男のひとりやふたり、瞬殺ですものね」さらに、「そうですよね、北夜に降りられた時だって、屈強の男どもをバッタバッタとなぎ倒していらっしゃいましたよね」壬剣が続き、「お嬢様方もすくすくとお育ちで、母子ともに健康。うらやましいですわ」高瀬がとどめを刺す。

「わたしは自分の結婚のために男性を襲ったりしない!」ふと気づくとミーメイ・ミーメイの肩がプルプルと小刻みに震えている。「あなたたちも狸寝入りをやめて、皆さんに挨拶しなさい!」

     半年前、鈴原小隊にいた頃の五十嵐千鶴が戻ってきた。


                     ── 完 ──